転職活動をしている中で、求人内容に「みなし残業制」という言葉を目にしたことはありませんか?
現在勤めている会社がみなし残業制を導入しているという人もいるでしょう。
このクリエイティブ業界に多い「みなし残業制」とは、一体どういう制度なのでしょうか?
みなし残業とは?
一ヶ月間のおおよその残業時間を想定して、固定の金額を残業代として支払う形態です。
残業時間に対して費用対効果があいまいな業種で導入されています。
クリエイティブ業界では定時に上がることが難しいので、残業することが大前提となってしまっているのが実情ですが、デザインの現場で一番ネックとなるのはアイデア出しの時間ではないでしょうか。
瞬間的にひらめく時もあれば、何時間経っても良いアイデアが浮かばないこともありますよね。
生産効率の面を考えると非常に不安定な仕事です。
同じ1時間の残業でもアイデアがポンポン浮かんでどんどん仕事出来てる時もあれば、悩んで悩んで何も作れない時もあります。
こんな業務に対して一律に残業代をつけてたらコストがかさむのは必至です。
でも残業代をつけないと労働基準局からガサ入れが入ってしまう。
そこで「残業代は払えないけど残業代を払ってることにできる」という、みなし残業制はデザイン業界からすると非常にありがたいシステム残業代なんです。
また、給与計算でいちいち残業時間を数えなくて良いので経理が楽というメリットもあります。
これって違法じゃないの?
実際に働いた時間に対して支払われるのが残業代のはずなのに、これって違法なんじゃないの?と思う方もいるかもしれませんが、
労働基準法で認められている労働形態で違法ではありません。
ただし法律の中に「みなし残業」という取り決めはなく、「事業外みなし労働時間制」「企画型または専門型裁量労働時間制」という制度を利用したときに使われる言葉です。
違法となるケース
みなし残業代を差し引いた額が最低労働賃金を下回るとき
総支給額からみなし残業代を差し引いた額が、働く地域で定められている最低労働賃金を下回っていると違法となります。
東京の最低労働賃金は 932 円。(2017年時点)
一ヶ月間の労働日数はおよそ22日なので、
22×8=176時間働くことになります。
最低労働賃金 932円×176時間=164,032円
この金額を下回っていれば違法となる可能性が高いです。
超過分の不払い
みなし残業で定めた時間を超えて働いた時、不足分が支払われないのは違法です。
決められた分は必ず残業するべき?
みなし残業として想定された残業時間より早く上がってはいけないかというと、そんなことはありません。
逆にみなし残業代以上の時間労働をした場合には、超過時間分の残業代を会社に請求することができます。
ただし残業時間が超過している場合でも、法律で定められた金額分みなし残業代をもらえていたら請求できない可能性が高いです。
労働基準法では一ヶ月のみなし残業上限は45時間と定められています。
ただし、『特別条項付36協定』という制度があって、最終的な残業時間は各会社で決められるという逃げ道のようなことができるので、正確なみなし残業時間は会社に直接聞いて確認するしかありません。
さいごに
会社のみなし残業制に納得いかない!
と思う人も多いと思います。給与明細を確認して「あれ?」と思うことがあったら、「うちの会社は違法なブラック企業だ!」と早合点せず、経理に確認してみましょう。